BLOG
インフルエンザとワクチン
今年は例年より少し早くインフルエンザの流行時期に入りました。
ご存知のように、インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によって起こり、一般的な風邪症状(のどの痛み、鼻水、咳など)に加えて、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、だるさなどの全身症状が比較的急に現れるのが特徴です。多くの場合は数日から1週間程度で回復しますが、子どもでは、まれにインフルエンザ脳症などの重い合併症を起こすことがあります。また、高齢者、基礎疾患や免疫力低下がある場合では、肺炎などを合併して重症化することがあります。
インフルエンザでは急に高熱が出るため、乳幼児を中心に熱性けいれんを伴うことも少なくありません。多くは数分以内に自然に止まりますが、5分以上続くけいれん、繰り返すけいれん、けいれん後も意識が戻らない場合は、医療機関へ相談してください。
・インフルエンザの治療
治療の基本は、十分な休養とこまめな水分補給です。食欲がなくても、水分が少しずつ取れているか、尿が出ているかを確認しましょう。発熱や痛みがつらいときは、年齢や体重に合った解熱鎮痛薬を使用します。お子さんには自己判断で大人用の薬や以前の残り薬を使わず、医師または薬剤師にご相談ください。抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に開始すると、発熱する期間を通常1~2日ほど短くし、ウイルスの排出量を減らす効果が期待できます。ただし、すべての患者さんに必ず必要というわけではありません。年齢、発症からの時間、症状の程度、基礎疾患などを踏まえて、抗インフルエンザ薬の投与とその種類が判断されます(次のブログで解説する予定)。呼びかけへの反応が悪い、意味の通らない言動や異常な行動がある、息苦しそう、水分が取れない、尿が極端に少ない、けいれんが続くなどの場合は、時間帯にかかわらず早めの受診が必要です。また、就学期以降のお子さんでは、抗インフルエンザ薬を使用しているかどうかにかかわらず、少なくとも発熱から2日間は一人にせず、異常な行動や転落事故などが起きないよう見守ってください。
・ワクチンの接種効果
インフルエンザワクチンを接種しても、インフルエンザにかかることはあります。ワクチンは、ウイルスが体の中に入ってくることを完全に防ぐものではありません。ワクチンの効果は、年齢、その年に流行するウイルスとワクチン株との一致などによって変わります。「接種すれば絶対にかからないワクチン」ではありませんが、インフルエンザにかかる可能性を減らし、重症化を防ぐことが期待されています。
・子どものインフルエンザワクチンは「任意接種」
現在、子どものインフルエンザワクチンは、原則として定期接種ではなく任意接種です。「必ず受けなければならないワクチン」ではありませんが、インフルエンザの発症や重症化のリスクを減らすことを目的として、毎年多くのお子さんが接種しています。特に、保育園・幼稚園・学校など集団生活をしているお子さんは、インフルエンザに接触する機会が多くなりますので、乳幼児や基礎疾患のあるお子さんでは、重症化予防という点からもワクチン接種を検討する意味があります。また、インフルエンザが最も流行する冬の時期に入学試験や大事なイベントを控えた学生さんも、ワクチン接種を検討する価値があります。
・注射のワクチンと鼻からのワクチン
現在、子どもに使用できるインフルエンザワクチンには、大きく分けて2種類があります。ひとつは、これまで広く使用されてきた注射で接種する不活化ワクチンです。もうひとつは、鼻の中に噴霧する(点鼻)弱毒生ワクチン(フルミスト)で、日本では2歳以上19歳未満のお子さんが対象です。フルミストは注射をしなくてよいという大きな特徴がありますが、弱毒化した生きたウイルスを使用する「生ワクチン」であるため、お子さんの年齢や健康状態などによっては接種できない場合があります。また、注射と点鼻ではワクチンの仕組みや接種方法が異なります。「どちらがうちの子に向いているのだろう?」と迷われる場合は、接種前にご相談ください。
・日頃の予防も大切
インフルエンザの予防には、ワクチンに加えて日頃の感染対策を組み合わせることが大切です。マスク、手洗い、咳エチケット、室内の換気などを心がけましょう。また、流行が非常に大きい時期には、特に乳幼児は人混みへの外出を控えることが予防につながります。さらに大切なのが一緒に暮らすご家族の感染予防です。小さなお子さん自身の予防だけでなく、ご家族が手洗いや咳エチケットを心がけ、必要に応じてワクチン接種をすることも、お子さんをインフルエンザから守ることにつながります。
2026年09月03日
小さい子に生肉・生レバー・生魚を食べさせるときは注意しましょう!

夏休みは、海や山でバーベキューをしたり、帰省して親戚みんなで食卓を囲んだりと、楽しいイベントがたくさんあります。こどもたちが、初めての食べ物に出会う機会も増える時期です。楽しい夏休みを「おいしかったね!」という思い出にするために、小さいお子さんの生ものについて、少し注意していただきたいことがあります。


1.小さい子の生魚(刺身・握り寿司)は慎重に
乳幼児は大人に比べて免疫機能や消化機能が未熟なため、食中毒にかかった場合に症状が重くなることがあります。
また、生魚には細菌やウイルスだけでなく、アニサキスなどの寄生虫による健康被害のリスクもあります。
そのため、3歳頃までは刺身や生の握り寿司は避け、3歳を過ぎてからも少量ずつ慎重に始めるとよいでしょう。
初めて食べさせるときは、
• 新鮮で衛生管理のしっかりしたものを選ぶ
• まずは少量から
• お子さんの体調がよい日に試す
• マグロやサーモンなど食べやすいものから始める
• 生の貝類、特に生ガキなどはさらに慎重にする
といった点に気をつけましょう。
一方、十分に加熱されたえびや穴子、玉子、ツナ、かっぱ巻きなどは、生魚より早い時期から食べることができます。ただし、小さいお子さんでは、のどに詰まらせないよう、一口で食べやすい大きさに切ってあげましょう。
年齢はあくまで目安ですが、
・0~2歳頃: 生の刺身や握り寿司は避ける
・3歳頃以降: 体調のよい日に、少量から慎重に
・小学校入学頃: 大人と同じように食べられるお子さんが増えますが、新鮮で衛生的なものを選ぶことは引き続き大切です。


2.生肉・生レバーは、こどもには食べさせないで!
生魚以上に注意していただきたいのが、生肉や生レバー、加熱が不十分なお肉です。
肉やレバーには、腸管出血性大腸菌(O157など)、カンピロバクター、サルモネラなどが付着していることがあります。特に腸管出血性大腸菌は、少ない菌量でも感染し、こどもでは溶血性尿毒症症候群(HUS)などの重い合併症を起こすことがあります。
「新鮮なお肉だから大丈夫」ということではありません。生肉や生レバーは、こどもには食べさせないようにしましょう。鶏のたたきや鶏刺し、加熱が不十分なハンバーグなどにも注意が必要です。


3.バーベキューでは「箸・トング」に注意!
夏休みのバーベキューでは、肉そのものだけでなく、調理器具を介した食中毒にも注意が必要です。
• 生肉を切った包丁やまな板を、そのまま他の食品に使わない
• 生肉をつかむトング・箸と、焼けた肉を取る箸を分ける
• 肉は表面だけでなく、中心部まで十分に加熱する
• 生肉を触ったあとは、しっかり手を洗う
特に、生肉をつかんだトングで、焼き上がった肉をお皿に取らないようにしましょう。
ちょっとした注意で、食中毒のリスクを大きく減らすことができます。夏休みの楽しい食事が、家族みんなのよい思い出になりますように!


生肉・生レバーについては、日本小児科学会からも注意喚起が出されています。ぜひご覧ください。
*参考:日本小児科学会HP「生肉・生レバーを子どもに食べさせるのはやめましょう」 https://www.jpeds.or.jp/general/generalnews/post-158044.html

2026年08月16日
夏休みは予防接種のチャンスです ~HPVワクチンについて~

夏休みは、学校生活に支障なく予防接種を進められるよい機会です。
この時期にぜひご検討いただきたいワクチンの一つが、子宮頸がんを予防するHPVワクチンです。
日本では、小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に、公費(定期接種)でHPVワクチンを受けることができます。HPVワクチンは、通常6か月以内に3回接種するスケジュールです。そのため、高校1年生の方が公費で3回の接種を完了するためには、今年9月末までに1回目の接種を開始する必要があります。夏休みのうちに1回目を済ませておくと、その後のスケジュールにも余裕をもって接種を進めることができるため安心です。

HPVワクチンや子宮頸がん予防について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
「もっと知りたい子宮頸がん予防」
https://www.shikyukeigan-yobo.jp/vaccines/p01/

なお、定期接種の対象年齢を過ぎると任意接種となり、自費での接種が必要です。費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり約28,000円が目安となります。
接種時期についてご不明な点がありましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2026年08月04日
熊本の皆さまにお見舞い申し上げます

このたび、728日午後に発生した熊本県を震源とする大地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

私自身、小学4年生の夏まで熊本市で過ごし、多くの思い出のある大切な場所です。熊本市内に住む親戚の無事を確認することができ、ひとまず安堵しておりますが、今なお不安な日々を過ごされている方々が多くいらっしゃることを思うと、胸が痛みます。

厳しい暑さが続く中での避難生活は、体調面への影響も大変心配されます。どうか余震が一日も早く収まり、被災地の復旧・復興が着実に進み、皆さまが安心して日常生活を取り戻されることを心よりお祈り申し上げます。

2026年08月02日
親子でラジオ体操をしてみませんか?

13年ほど前、夏休みに子どもと一緒に近所の神社で行われていた朝のラジオ体操に参加しました。子どもが成長した今では、毎年私一人で参加するのが夏の恒例になっています。

ラジオ体操は昔から親しまれている運動ですが、実は子どもの身体発達という視点から見ても、とても理にかなった全身運動だと思います。

最近は、タブレットやスマートフォン、ゲーム、勉強などで前かがみの姿勢が続く子どもが増えています。そのため、肩甲骨(けんこうこつ)の動きが少なくなり、姿勢の乱れや肩・首まわりの筋肉の緊張につながることがあります。

肩甲骨は「腕の土台」ともいわれる大切な部分です。ラジオ体操には腕を大きく上げたり回したりする動きが多く含まれており、肩甲骨をさまざまな方向へ動かします。こうした動きは肩甲骨周囲の僧帽筋(そうぼうきん)や前鋸筋(ぜんきょきん)などの筋肉をバランスよく使うため、姿勢を保つ力を育てることにもつながります。

また、肩甲骨がスムーズに動くようになると、投げる、ぶら下がる、登る、泳ぐなど、子どもに欠かせない基本的な運動がしやすくなります。さらに、体幹や股関節も一緒に使うため、全身の協調性やバランス感覚を育てる効果も期待できます。

運動習慣は「たくさんやること」よりも、「続けること」が大切です。ラジオ体操は3〜5分ほどで終わるため、毎日無理なく続けられます。腕を耳までしっかり上げたり、「肩甲骨を背中で寄せるように動かそう」と声をかけたりすると、より効果的です。ただし、痛みがある場合は無理をせず、気持ちよく動かせる範囲で行いましょう。

夏休みは生活リズムが乱れやすい時期ですが、朝のラジオ体操は体内時計を整え、朝日を浴びるきっかけにもなります。蝉の鳴き声を聞きながら朝の光を浴びることは体内時計のリセットに役立ち、規則正しい睡眠・覚醒リズムを保つことにもつながることが知られています。

親子で一緒に体を動かす時間は、健康づくりだけでなく、大切なコミュニケーションの時間にもなります。この夏はぜひ、お子さんと一緒にラジオ体操に参加してみてはいかがでしょうか。

2026年07月28日
夏休み中の食物アレルギー対策

近年、食物アレルギーのあるお子さんは世界的に増えています。普段は家庭や学校でアレルギーへの対応が共有されていますが、夏休みにはキャンプや宿泊学習、スポーツ合宿、旅行など、普段とは異なる環境で過ごす機会が増えるため、改めて十分な準備が大切です。

お子さんが課外活動に参加する際には、次の2点を必ず確認しましょう。

  1. アレルギーの原因となる食べ物、これまでに起こった症状、緊急時の対応方法を、主治医の指示書や「学校生活管理指導表」などを用いて、引率者やスタッフに事前に伝えておきましょう。
  2. **飲み薬やエピペン®(アドレナリン自己注射薬)**は必ず持参し、スタッフにも保管場所や使用方法を確認してもらいましょう。また、万一に備えて、近くの救急対応可能な医療機関も確認しておくと安心です。

旅行の際にも注意が必要です。レストランやホテルでは、学校給食のようにアレルゲン表示が義務付けられているわけではありません。予約時や利用前に、アレルギー対応食が可能か、使用食材や調理方法について確認しておくことをおすすめします。しっかりと準備をしておけば、食物アレルギーがあっても安心して夏休みの思い出をつくることができます。周囲の大人が正しい知識を持ち、お子さんを見守ることが、安全で楽しい夏休みにつながります。

2026年07月20日
熱中症対策の特集が福岡市政だよりに掲載されてます
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shicho/koho/fsdweb/reiwa8_dayori/0715/0201.html
2026年07月17日
熱中症に気をつけましょう

例年より早く梅雨が明け、本格的な暑さが続いています。急に気温が高くなるこの時期は、まだ体が暑さに慣れていないため、熱中症に特に注意が必要です。

小さなお子さんは身長が低いため、地面からの照り返しの熱を受けやすく、大人が感じる以上に暑い環境にいます。ベビーカーに乗っているときも、路面からの熱がこもりやすいため注意しましょう。

熱中症では、体温が高いことだけでなく、「ぼんやりする」「元気がない」「めまいがする」「ぐったりする」といった症状が大切なサインです。顔色が悪い、水分が飲めない、呼びかけへの反応が鈍い場合は、すぐに涼しい場所へ移動し、体を冷やしながら医療機関を受診してください。

予防の基本は、直射日光をできるだけ避け、こまめに水分を補給することです。のどが渇く前から、1時間ごとを目安に水分補給を心がけましょう。

現在開催中のサッカーW杯では、今回の大会で初めて、前半・後半の途中に**Hydration Break(給水タイム)**が設けられました。選手たちは水分補給を行い、体を冷やしてコンディションを維持しています。それだけ暑さ対策は大切だということです。

熱中症対策のポイントは、福岡市政だより最新号(2026年7月15日号)でも詳しく紹介されています。WEB版が公開されましたら、当院ホームページでもご紹介する予定です。

乳幼児は自分で『のどが渇いた』と訴えられないことも多いため、大人がこまめに水分補給や休憩を促してあげましょう。そして、お世話をするママやパパもしっかり水分補給して、暑い夏を元気に乗り切ってください。

2026年07月12日
手足口病とヘルパンギーナ

毎年、梅雨の時期から夏にかけて流行する子どもの感染症に、「手足口病」と「ヘルパンギーナ」があります。どちらもウイルスが原因で、発熱や口の中の痛みが起こり、食欲が落ちることがあります。

手足口病では、手のひらや足の裏に赤い発疹や小さな水ぶくれができるのが特徴です。おしりの周りに発疹が出ることもあります。また、口の中や舌、唇に口内炎ができるため、食べたり飲んだりすると痛がって機嫌が悪くなることがあります。水ぼうそう(水痘)と似ていることがあるので、要注意です。

ヘルパンギーナでは、のどの奥(のどちんこの周り)に小さな水ぶくれや口内炎がたくさんでき、強いのどの痛みが出ます。体に発疹が出ることもありますが、手のひらや足の裏にはあまり見られません。

どちらの病気も、ウイルスそのものを治す特効薬はありません。十分な水分をとり、食べられるものを少しずつ食べながら、ゆっくり休むことが大切です。

保育園や幼稚園でうつりやすい病気ですが、熱が下がり、普段どおりに食事ができて元気があれば登園できます。ただし、口の中が痛くて食事や水分が十分にとれない場合は、無理をせず回復してから登園するようにしましょう。

2026年07月05日
はじめまして

先月6月11日に福岡県糟屋郡宇美町にオープンしました、「なかやまこどもクリニック」の院長・中山秀樹です。

宇美町には子安の杜として有名な宇美八幡宮があり、当クリニックは宇美八幡宮から約700mの場所にあります。子育てに力を入れている宇美町と協力して、こどもの健康を守り、子育てをサポートするクリニックを目指します。よろしくお願いいたします!

2026年07月05日